コンテンツへスキップ

吉村昭が綴った、凄絶すぎる羆の脅威・「羆嵐くまあらし」(昭和52年刊行)。

大正4年(1915年)12月9日から14日にかけて起こった「三毛別(さんけべつ)羆事件」。巨大羆の複数回襲撃で7名の死亡と3名の重傷を負った事件。場所は、北海道の日本海側、留萌の北の苫前(とままえ)郡苫前村三毛別六線沢(現 苫前町三渓さんけい)。現在の232号線と239号線に挟まれた地域。概ね平野部で、この周囲の最も高い山は445.9mの三毛別山。要は山奥ではない。現在も羆は平野部に出没する。この襲撃羆の体重は383kg、体調は2.7mというから、最近この辺りで捕獲されたメタボ羆(体長1.9m、体重約380kg)も比にならぬ体格である。※本州・四国に生息するツキノワグマの体長は長くてもオスで1.8m、体重は120kg程度。

吉村昭と言えば、歴史小説家の代名詞である。第一回「司馬遼太郎賞」を辞退したことでも名高い。私も吉村昭の愛読者の一人であるが、この「熊嵐」は2015年10月13日に読み始めて2日後の15日に完読している。

東日本大震災の時も、吉村昭のルポルタージュ、「三陸海岸大津波」(明治29年・昭和8年・昭和35年のチリ地震)を既に読んでいたので、何故に過去の大地震の教訓を生かせなかったのかと、疑問に持つというよりも政治に恨みさえ覚えた。

小説を読むと云うことは、新聞や週刊誌、テレビなどと異なりそれらの比にならない時間と労力を要する。読書にはこの一見無駄と思える時間が重要なのである。長く記憶に残り、表現された場面や状況を超えて多くの想像をめぐらすことができる。「羆嵐」も羆の知恵や獰猛さ、人間の非力を感じざるを得ない。

羆の年間捕獲数は約1000頭。生息数は約11000頭と推定されている(1990年の2倍以上に増加)。

先頭へ

0985-53-2511